人生二回目の緊急搬送を体験した話
不安障害と 連日何も食べられていない影響から
動悸と呼吸の苦しさが出て、横浜市の医療相談センターみたいなところに相談したら119に転送されて搬送されることになった。
人生初めての救急車ライドオン時は急アルで意識がぶっ飛んでいた為、内部のことなどまるで記憶にない、だが、今回は意識こそぶっ飛んでいないものの体はハチャメチャにしんどく、全身がXmenのコロッサス状態だった為、特に感動もないまま ゼーハーしながらベッドに寝転がった。
↑↑↑Xmenのコロッサス
色々質問されたが、今日はラムネ数粒しか摂取していない私の脳みそがまともに機能する訳もなく、普段のオタク特有の早口は封じられ、戦場カメラマンの如くゆっくりと救急隊員から矢継ぎ早に繰り出される質問に答えていた。
救急隊員の皆様の作業音をBGMにぼうっと天井を眺める。
天井には4箇所止められたハンモックみたいなやつがあり、網の中に酸素マスクがみちみちに詰められていた。
あれどうやって出すんだろう?と思っていたら、
突如、『妊娠』と書かれた紙を眼前に突きつけられた。
知能検査でもされているのだろうか?
突然始まったネプリーグのトロッコ問題と思わしきものに私は慄いた。
あの林先生でもこの問題には答えられないであろう。
なぜなら林先生におまんこはついていないからである。
↑↑↑妊娠 という人類史における深い質問を出された林先生
そんな下らないことを考えていたら、トントン、と紙を指で叩かれた。
どうやら「妊娠はしていないか?」ということらしい。
半年以上、いや1年近くsexなどしておらず、
ディルドを突っ込むしか脳のない私に一体何を聞いているのだろうか。
「まったく ないです。」
その言葉は、Xmenのように力強かった。
搬送先の病院に着き、あーだらこーだら質問をされたりなんだりしていたら、
検査をすると言われた。
どうやら採血をするらしい。
採血など私は全くもって怖くはない。
献血回数も2桁を超えている。言わば玄人であるので、「はいはい笑 採血ね笑 俺こういうのさー、下手な人とか分かっちゃうんだよね笑」などと心の中に大手広告代理店勤務の男を出現させながら余裕綽々に待ち構えていると、
「動脈から取りますからね~」と目の前の可愛いお医者さんがそう言った。
え?
動脈っていえば
"あの"?!
ゾッとした。
可愛いお医者さんの口から核爆弾級の言葉が飛び出している。
動脈といえば、フィクション作品にもよく登場し、
医療知識のない一般人でも絶対に傷つけてはいけないとおもう血管ランキングNo.1のアレだ。
私には透析をしている祖母がいるのだが、どういう仕組みなのかは知らないが話を聞くところによると、動脈から行うらしい。それがとてつもなく痛いというのだ。
私は思わず「どどどどどど動脈ですか?!」と
聞いたが、「うん、動脈。酸素量を見たいからねー」とたんたんと説明され、視界の端では忙しなく看護師さんが準備を始めるのが見えてしまった。
「ちょっと痛いかもしれませんが、、、」
泣きそうになっていたら、可愛いお医者さんが私の手首を猿の毛繕いが如くなにやら探し出した。
どうやら、その動脈を探しているらしい。
動脈ハンターと化した医者は念入りに私の手首を見ていたが、ちらりと見えた名札の "研修医"という肩書きを見たが最後、私の疑念は確信に変わった。
やられなくてもわかる。絶対に痛いし、絶対に下手。
何故かベテラン風の看護師さんの方が補助に回っている。オイオイ、今はアンタの出番だろ。
「じゃ、チクッとしますね」
チクッ
あれ......???
笑ってしまうほど 無痛。
これを 痛いかもしれないと言っていたならば、
おそらくこの医者は甘ちゃんである。
全然痛くない。
ま、私には余裕ですけれどもね、とほくそ笑んだ瞬間、手首を貫くような痛みが襲ってき、私は思わず獣のような声を上げた。
針は勿論体内に入っているため見えることは無いのだが、針先が私の血管に入り込んでいるのがわかる。
ズ、ズズ、ズズズ....
腕の中を無遠慮に掻き回されているかのような痛みで、私は大人げなく泣いた。
こんなに痛いのははじめてだ。
あまりにも泣くので、看護師さんが私の頭を撫でてくれた。ここは小児科だったらしい。
そして、私があまりにも痛みに泣き叫ぶので手首からの採血は失敗に終わり、鼠径部からいきますと言われた。
ならば、私のこの痛みは一体?
「ど、どっちが痛いですか」と泣きべそをかきながら聞くと、「鼠径部の方が痛くないかなー?」と言われた。
最初から そっちで やれ。
鼠径部はびっくりするほど痛くなく、私が変な声を出すことも無いままに終わったが、当然鼠径部なのでパンツをずり下ろされ、私のTゾーンを暴露することになってしまった。
いつもはちゃんと処理をしてツルツルなんだからねッ!とツンデレしながらぼうっと天井を眺めていたらいつの間にか終わっていた。
もう一度いうが、最初からそっちでやれ。
次は心電図をとるらしい。
ムーランによく似た看護師が、
ひとくちサイズサロンパスみたいなやつをどんどん私に貼っていく。
勢いよくトップスを挙げられ、私の乳首は突然外気に触れさせられてしまった。もう少しなにかあってもいいのでは?と思っていたらどんどんとひとくちサロンパスに電極が繋げられてゆく。
これでもしも大規模な停電とかなにかしらの影響で機械が誤作動を起こして、私の体に電気が流れたら死ぬな。などと思っていたらものの数十秒で終わったらしい。ムーランは早々に帰っていった。
さようなら、ムーラン。
結局、色々検査をしたが特に問題は無く、
精神科の先生とも話したが、やはり今行っているかかりつけ医に相談しろと言われただけで、特段の措置などが行われることは無かった。
だが、あの痛い思いをした血液検査のおかげで、
私は今特に栄養失調状態にないことがわかり、少しだけ安心できた。
本当に色々な人にご迷惑をおかけしただけで終わってしまった。
今後はこんなことがないように心がけたいなぁと
帰りの車内、未だに芯を持ったように痛む採血痕を見て思うのであった。