ただ言いたいことだけを言うブログ

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貴志祐介 「天使の囀り」の感想

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「黒い家」などで有名な小説家、貴志祐介さんの「天使の囀り」という作品について紹介していきたいと思います。

 

あらすじ

主人公はホスピスで働く女性。

優しすぎて患者に感情移入しすぎるきらいがあるけど真面目で聡明。
主人公には作家の恋人(A男)がいて、A男が雑誌の企画で
訪れている南米から主人公へ送ったメールで物語がはじまる。
メールの内容はアマゾンの森のことや探検の途中で食料を川に落としたため
仕方なく現地で猿を捕まえて食べたこと、
同行している探検隊のメンバーの紹介などあたりさわりのないもの。
けれど南米から帰国したあと、A男は内向的でタナトフォビア(死恐怖症)の傾向があった以前とは
ガラリと変わって明るくなり、食欲や性欲も旺盛で主人公が心配するほどになっていた。

南米から帰国後しばらくして、A男は「目を閉じると天使の囀る声が聴こえる」なんてことを
主人公に言い残して睡眠薬自殺を図り死んでしまう。

A男の帰国後のあまりに劇的な変化と自殺を不審に思った主人公が
他の探検隊メンバー達の帰国後の様子を調べていると、
一人は何よりも失うことを恐れていた娘を道連れに、
もう一人はサファリパークで病的なほど怖がっていたはずの猫科の猛獣に身を投げ出して
自殺していた。さらに生き残っているはずの二人も行方不明になっていることがわかる。

自殺したメンバーを司法解剖した際に脳から寄生虫が見つかり、
それがA男たちの死に関係あるかもしれないと思った主人公は
専門家のB男に見つかった寄生虫を持ち込み、研究を依頼する。
(後に物語が進むにつれB男と主人公はいい感じに。)

そうこうしているうちに、主人公は南米への旅行とは何の関係も無い人々が
奇妙な方法で自殺したといううわさを耳にする。
潔癖症の少女はアオコで満たされたヘドロの沼で入水自殺、
顔の火傷跡の醜さを気にしていた少年は劇薬の溶液で顔を焼き、
先端恐怖症の主婦は自らナイフで目を突いて死んでいた。
探検隊とは関係のない自殺者三人ともがとある自己啓発セミナーに参加した経験があり、
そのセミナーの主催者が行方不明のメンバー二人だということを突き止めたB男と主人公は、
探検隊メンバーの死とセミナー参加者の死は寄生虫が原因で、
この未知の寄生虫は寄宿主である人間の「恐怖」を「快感」に変えて自殺を図らせていたという結論を出す。
また、感染源は南米で探検隊が食べたウアカリという猿であるらしいことも分かる。
実はA男が聞いていた「囀り」は、寄生虫が脳へ向かう途中に引き起こす錯覚。

行方不明になっていた二人が生き残っていたのは、自殺してしまった探検隊のメンバーと違って
「快感として捉えてしまうと死に至るような恐怖の対象」を持っていなかったおかげ。
この二人はとんでもないことに、寄生虫のおかげで何事にも恐怖心を抱くことの無くなった精神状態の
素晴らしさを広めてやろうと自己啓発セミナーを開催して人を集め、
こっそり輸入した(寄生虫入りの)猿の肉を参加者に振舞っていた。

何度目かのセミナーに踏み込もうと地方の宿泊施設へ向かうB男と主人公。
大勢の人間がいるはずの建物はしんと静まり返っていて人の気配が全く無い。
建物内を探し回り、二人は施設の浴場で変わり果てた姿のセミナー参加者達を発見する。
浴場に集まった主催者の二人(行方不明になっていた探検隊メンバー)を含む大勢の人間は、 自殺はまぬがれたけれど、そのせいで寄生虫が体内で増え続け
体の中身がそっくり寄生虫にとってかわられた状態になって死んでしまっていた。
恐ろしい寄生虫をこれ以上世間に広めないためにと施設ごと燃やして撲滅してしまうB男と主人公。

 

数日後、B男のマンションを訪れていた主人公はB男の様子がおかしいことに気づく。
実は宿泊施設の浴場でセミナー参加者たちの死体を調べている間に
手違いでB男は寄生虫を体内に取り込んでしまっていた。
B男は主人公が研究を依頼するときに持ち込んだ寄生虫も自宅に保管していて、
セミナーを主催していた二人と同じように
「寄生されている間の晴れやかな気持ちを君とも分かち合いたいんだ」と主人公に無理やり飲ませようとする。
必死で抵抗し、寄生虫の入った試験管を持ったままマンションから逃げ出す主人公。
外に出てB男の部屋の窓を見上げると、窓から身を乗り出して主人公を探すB男の姿が見えた。
酩酊状態でバランスを崩したあと体制を立て直したB男は、落ちそうになった時に感じた強い恐怖
寄生虫のせいで快感としてとらえてしまう)にあらがえずそのまま窓から身を投げた。

自宅に戻った後、主人公は恋人を二人(A男とB男)も奪ってしまった
寄生虫の入った試験管を熱湯につけて殺してしまおうとするんだけど、ふと思いついてやめてしまう。

場面が変わり、数日後。勤務先のホスピスで仲のいい患者の少年と主人公が話している。
少年は身寄りが無く、いつ死んでもおかしくないような病状。
以前は「死ぬのがこわい」と主人公に漏らすこともあり、
優しい主人公は少年の言葉をいつもやりきれない思いで聞いていた。
「鳥が天井を飛びまわって鳴いているのが聴こえるよ」と言う少年に、
主人公は「天使が囀っているんだよ」と答える。それを聞いた少年は
「もう死ぬのは怖くないよ。天国で家族にあえるし。」と言い残して息を引き取る。
少年を看取った後、主人公が警察へ行ってすべてを話そうと決心しておわり。

 

 

これほんとに気持ち悪いんですよ。

特に潔癖症の女の子がヘドロまみれのくっさい沼(野獣先輩のケツの穴より汚い)に入ってその水を浴びるように飲むシーンとか、

醜形恐怖症の男の子が顔に劇薬をかけてただれて死んでいくとか。

私は先端恐怖症、嘔吐恐怖症、高所恐怖症、閉所恐怖症という恐怖症の大カーニバルという感じですのでおそらくこの寄生虫に感染しようものなら一番乗りで死ぬ自信があります。

かけっこやリレーではいつもビリの私でしたが最期は一番になれるという寄生虫の粋な計らいですかね。ありがとうございます(ガンギレ)

 

 

お察しの通りこの寄生虫は宿主のトラウマを快感に変えてしまうんですよ。

そして宿主が死んだところでその体を乗っ取って繁殖していく。

これは寄生虫にはよくある事です(日常茶飯事)。

宿主の体をまるで車のように扱い、そして栄養分にしていく。

この寄生虫は実在しませんが、実際に宿主である虫を水辺にいくよう脳みそに指令をだして溺死させ乗っ取る寄生虫などは存在します。

脳をジャックすることができなくても、胃壁を食い破るアニサキスは有名ですよね。

やだ怖い、、、。(そういうことは)やめてください!もう許さねぇからなぁ!

 

そしてこのハッピーなんだかアンハッピーなんだかわかんないエンド。

何も知らない少年は楽に逝けた訳ですが、主人公はそうではないわけです。

感染者の末路を知っていてなお、それでも「死」という絶望的な恐怖から少年を救った。しかし、それは同時に少年を殺したということでもあるわけです。

死からの解放のために死に追いやる。

一見すると矛盾していますが彼を助けるにはこれしかないんです。

助かる見込みも、身よりも何も無い少年にとって、みっともなく限りある生にすがりついて苦しんで一生を終えることはきっと幸せとは言えない。

だからこそ、早苗は彼に寄生虫を投与したのだと思います。

殺人という重いものを背負ってでも。

 

感染者たちは「天使の囀り」を

「まるで小鳥が囀っているようだ、ギィー!ギィー!と。」

そう喩えました。

 

ちょっとまって!天使の囀りじゃないやん!!!!!!!!!!

どちらかというとわたしの近所のペットショップにいる狂ったオウムに似てますね。

しかし、感染者たちは皆寄生虫に魅了され、脳みそ蝕まれているからこそ、「天使の囀り」だといったのでしょうか。

確かにそうです。

 

あまいもの

お酒

ドラッグ

SEX

それらに溺れた人々はみな自分の身を滅ぼす『寄生虫』から離れようとはしません。

 

 

醜く肥えても

内臓をダメにしても

逮捕されても

性病になっても

 

繰り返し繰り返し

『寄生』を繰り返す

 

どちらが寄生虫なのか、

わかったものではないですね。